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「峠の釜めし」を知るには? この1冊が必要不可欠でしょう。
「天からの贈り物」 『峠の釜めし』誕生秘話
田中トモミ 著
株式会社アドア出版 初版 昭和63年4月26日
ISBN4−900511−56−0 1262円(税別)
横川の「おぎのや」の「峠の釜めし」。
とくに説明も必要のない名物駅弁ですが、その誕生のいきさつはあまり多く
知られていません。
いまでこそ、全国有数の駅弁となった横川の「峠の釜めし」と「おぎのや」
ですが、その誕生には数々の試練がありました。
横川駅での碓氷峠を越えるための機関車を連結する「間」を最大限に利用し
ての駅弁の販売。しかし、それだけでは、ダメでした。
廃業寸前だった「荻野屋」の経営の建て直し、目玉商品としての「釜めし」
の開発に傾ける情熱、「釜」の製造コストとの価格設定のせめぎあい、駅で
の販売許可を得るための粘り強い努力、初めは鳴かず飛ばずで、ぜんぜん売
れなかった「釜めし」を売り込むためにしぼった知恵の数々などなど。
やがて、全国区でも名物駅弁として定着した「釜めし」から「峠の釜めし」
へと・・・。思いつきだけでは実現せず、実現しても、そのまま売れたわけ
ではありません。経営者の先見性が随所に光っています。
事実は小説よりも奇なり、下手な小説よりも数段スリリングな実話です。
今からでは想像できない前世紀〜「峠の釜めし」がブームになるまでの「お
ぎのや」の歴史が簡潔な文章で、克明に記されています。
横川〜軽井沢の歴史を知りたい人、起業家を目指す人、商品開発に携わる人
にはお奨めの1冊です。第36回 日本エッセイストクラブ賞受賞。